多治見市内モデルコース

岐阜県内に3つある国宝建造物のうち、2つが多治見の虎渓山永保寺にあります。その庭園は国の名勝に指定されており、700年の歴史を肌で感じ取ることが出来ます。
また、赤い屋根と白い壁が映えるカトリック神言会多治見修道院では、キリストの一生に接することが出来、おみやげに修道院ワインの購入も可能です。

はじめに

700余年前に夢窓疎石が禅宗の臨済宗永保寺を、また90年前にはドイツ人のモール神父がカトリック真言会の修道院をこの地多治見に創建されました。

時代の差、宗教の違いはありますが、土岐川右岸の良好な地に、偶然とは言え「人の幸福を祈り、救いの道を教える場」「修行の場」を創られました。この二つの名刹をめぐって頂くことには興味深いものがあると思います。

これからご案内させて頂きます。

永保寺

永保寺は臨済宗の南禅寺派(京都)で、南禅寺派での位は高く、永保寺は修行道場となっている。1313年に夢窓疎石(むそうそせき)と弟子の佛徳禅師の二人により開山した。夢窓疎石は、瑞泉寺(鎌倉)、恵林寺(山梨)、天龍寺、西芳寺(京都)等も建立し禅庭園を造園しており、高僧の証しである国師の称号を朝廷より七つも与えられている。

永保寺には、庭園が国の名所庭園に指定されているとともに、観音堂と開山堂が国宝となっている。岐阜県には国宝が3か所あるがそのうちの2つが永保寺にある。(もう一つは飛騨の安国寺)

永保寺は修行道場のため、檀家さんはいないが、塔頭(たっちゅう)という寺内寺院があり、そこには檀家さんがいる。1400年頃には30くらいの塔頭があったが、今は続芳院・保寿院・徳林院の3つのみが残っている。

続芳院
徳林院

永保寺のご本尊は聖観世音菩薩になる。虎渓西国三十三観音と称して、永保寺内の三十三か所ある観音菩薩像を巡るコースがある。三十三観音とは、観世音菩薩が衆生を救うため、それぞれの相手に合わせて33の姿をとることを言う。

修行寺の門

黒(玄)門といい、修行寺の門なので造りは質素になっている。

七堂伽藍(しちどうがらん)

伽藍とは、僧侶が集まり修行する場のことをいい、その後建物の配置の意味となった。禅宗の場合七堂伽藍といい、三門(さんもん)、方丈(法堂(はっとう))、仏殿、僧堂(禅堂)庫裏、東司(お手洗い)、浴室になる。普通は左右対称に建てられるが、永保寺は山と川に挟まれた配置はとなっている。

イチョウの木

門をくぐり歩いていくと、正面に佛徳禅師が植えられたといわれている、推定樹齢700年・高さ25.5m・目の高さの太さ4.4mのイチョウの木がある。方丈と庫裏が2003年に火事になったが、建物の横にあるイチョウの木は半分が焼けたが、今は元に戻っている。

鐘楼

鐘楼が袴型になっており地面の下に大きな瓶が埋めてあり、音響効果の役割を果たしている。屋根を支える軒の細工が素晴らしい。屋根、深い軒を支える三手先組という組手で作られている。

庫裏

生活の場である庫裏の玄関には、止掛塔(しかとう)の看板がかかっている。<掛塔(かとう)=修行>を止める状態で、看板の裏に書いてある雲衲輻輳(うんのうふくそう)は、修行僧集まれという意味だそうだ。雲衲輻輳の時、修行僧は玄関で「たのもう」と2日間言い続け、3日間の朝にようやくおかゆを食べさせてもらうことができる。その後、禅問答して入門が許される。

方丈(法堂)

方丈は禅問答をおこなう専門道場だ。光明天皇の時(南北朝時代)の1339年に勅願所になったので、その証しとして大方玄関の唐門の上には菊の御紋がある。指定を受けた勅願所は天皇に代わって、国家の安全・平和・繁栄を祈願する。

明治13年に岐阜に明治天皇が行幸された時、侍従だった山岡鉄舟は行幸に先立ち、廃仏毀釈で荒廃した永保寺を見て再興させた。

僧堂

僧堂は座禅を組むところで、雲水の修験の場となっている。文殊菩薩が祀られている前で、壁を背にして座禅をする。臨済宗は、座禅と禅問答が修行の中心になる。ちなみに曹洞宗は、壁を向いて座禅を組む。

庭園

夢窓疎石は初めてここに自然を生かした禅庭園を造られた。観音様がおられる方が彼岸(ひがん)で、橋を渡る手前が此岸(しがん)と見立て、悟りを開くと無際橋を渡って観音様に会える。夢窓疎石が造られた庭園はここが最初で、その後瑞泉寺(鎌倉)、恵林寺(山梨)、西芳寺(苔寺)・天龍寺(京都)の禅庭園を造られた。

六角堂

滝が流れる岩の上に、六角堂が建っている。千体地蔵が祀ってあり、願をかける人が地蔵を借り、願が叶うと新しい地蔵を返す習わしがあり千体となったと言われている。

開山堂(国宝)

夢窓疎石が亡くなった翌年・佛徳禅師が亡くなって20年の1352年に、足利尊氏が寄贈した建物になる。建物に使ってある木の年輪を調査したところ、1340年代の材料が使われていることがわかったので、建築時期は間違いないと思われる。

祠堂(しどう)と礼堂(らいどう)があり、その間を相の間で連結されている権現造で日光東照宮等の原型と言われている。写真では一つの建物しかないように見えるが、もう一つ奥に建物がある。建物は禅宗様式という中国式の造り方で、屋根、軒が反っている造りが特徴だ。その屋根、軒を支えている三手先組、二間扇垂木(扇状の垂木が放射線状に出ている)の細工がすごい。建物内部は、床には石瓦、天井は鏡天井になっていて、夢窓国師と佛徳禅師の木像が、その背後には佛徳禅師のご遺骨が納められた宝篋印塔が安置されている。毎年3月15日に御開帳があり内部が披露される。 

虎渓三笑(こけいさんしょう)

中国江西省廬山(世界遺産)の東林寺という寺に、虎渓という谷があり、東晋の時代、慧遠(えおん)という僧がそこで修行をしていて、道教・陸修静、儒教・陶淵明が訪ねて清談(哲学的な議論)をした。見送りの時、谷(虎渓)を越えないという修行僧の誓いをしたにもかかわらず、議論に夢中になり、橋を渡ったことを知らないまま通り過ぎた。そのことに気づき、三人が大笑いしたという話しから、「物事に熱中するあまり、他のことをすべて忘れてしまう」という四字熟語になっている。虎渓山は、中国から来た僧にその話しを夢窓疎石が聞いて名付けたとのこと。

無際橋

半径70尺(21m程度)の太鼓橋になっていて、橋の真ん中は亭橋(屋根付き橋)になっており、屋根は檜皮葺で葺かれている。

観音堂(国宝)

1313年開山の翌年の1314年に建立されたが、現在の建物は応仁の乱の頃(1400年代)に建替えられたといわれている。

御本尊(60㎝ほどの観音像(坐像))は、須弥壇(しゅみだん・仏像を安置する一段高くしてある場所)に、煩悩をイメージする流木で造られた岩窟式厨子(がんくつしきずし)があり、その中に観世音菩薩像が納められている。

観音堂は開山堂と違い、平安時代からの日本建築と中国建築(禅宗様式)の折衷で建てられている。屋根の下地の垂木などは隠れている所や外に廊下がある所は、和式となっている。一方、裳階(もこし)と言って屋根を二重にして、優美さを際立たせる所は、中国式になっている。 

開山堂と同じ3月15日御開帳するので、その日に中の見学ができる。観音堂では結婚式をあげることができるので、その場合は当然中に入ることができるそうだ。

神言修道会多治見修道院 カトリック多治見教会(教会内は、撮影禁止)

1930年(昭和5年)ドイツ人の神父ヨゼフ・モールによって設立された。敷地は6万㎡あり、大聖堂と修道院がある建物は、地下1階地上3階で3300㎡ある。

男子の修道院としては、北斗(北海道)、宗像(福岡)とともに、三大男子修道院と言われている。

現在の修道院は、南山大学の研修施設として利用されている。敷地内には宿泊施設もあり、一般の方も利用が可能だそうだ。

昭和24年の建築基準法ができる前に建てられたが、ドイツ人が設計したので、当時としては珍しい延焼を防ぐ耐火壁がある。この建物を建てたのは金沢の大工さんで、雪国の建築のイメージで作った。

伊勢湾台風(1959年)の時、建物や備品が傷み、修道院、教会を廃止する話しが出たが、多治見青年会議所が有名歌手等による聖堂でのコンサートを企画し、寄付を募り、維持された。その時に、玄関上のカリヨンと言う鐘も寄付され、今も決まった時間に鐘が鳴るそうだ。

多治見修道院ワイン

ブドウの栽培がおこなわれていて、以前は地下でワインの製造もおこなっていたが、今は外に製造を委託している。多治見修道院ワインとして販売していて、戦争中ワインの輸入が無かった時には、全国の教会に供給され、ミサに使われたそうだ。毎年11月3日には、ワイン祭りが開かれる。

ルルドの泉

1858年、フランスとスペインの国境の町ルルドの町はずれの寒村に住んでいた少女の前に、人々の改心と世界平和のために「ロザリオの祈り」を勧めたマリア様の化身の婦人が現れた。洞窟から湧き出た泉の水が奇跡的な治癒をもたらす効力があったことから、その婦人が聖母マリアではないかとなり、1862年に教会は巡礼地と公認した。

世界各国にルルドの洞窟が造られた。

ルルドには現在年間500万人訪れる一大観光地なっており、フランスではホテルの数がパリに次ぐ程の観光地となっている。

多治見観光ボランティアガイド

ボランティアのガイドが多治見市を訪れた方々に、おもてなしの心で市内を案内し、地域の魅力をご紹介いたします。 多治見市は本物を観て、本物の素晴らしさを肌で感じ取っていただく観光を目指しています。 岐阜県内に3つある国宝建造物のうち、2つが多治見の虎渓山永保寺にあります。 その庭園は国の名勝に指定されており、700年の歴史を肌で感じ取ることが出来ます。 また、赤い屋根と白い壁が映える神言会多治見修道院では、キリストの一生に接することが出来、おみやげに修道院ワインの購入も可能です。 さらに、この地方のやきものの歴史は7世紀にさかのぼり、これまでに人間国宝の陶芸家を4名輩出しています。 やきものの町ならではの窯元めぐりも出来、またその景色を色濃く残したオリベストリートではショッピングや楽しむことができます。 ガイドの会員は、養成講座を受講し、毎月の勉強会を通じてガイドの知識をさらに補っています。団体の方はもちろん、個人の方もお気軽にお申込みください。

団体窓口
多治見駅観光案内所
所在地
〒507-0037 岐阜県多治見市音羽町2 多治見駅観光案内所内
電話番号
0572-24-6460

ツアープラン情報

ツアー名
多治見市内モデルコース
料金
10人未満500円、
10人以上1,000円
(運営協力金)
開催日時
修道院聖堂は月曜日及びミサの時は拝観中止
ツアー時間
120分(移動時間含む)
永保寺、修道院何れか一方の案内も可
予約受付
10 日前まで
お問い合わせ
多治見駅観光案内所
TEL
0572-24-6460
定休日
年中無休
営業時間
9:00〜18:00
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