門司港レトロ地区散策コース

かつて国際貿易港として栄えた門司港には、JR門司港駅(大正3年建築)、旧門司税関(明治45年建築)、旧門司三井倶楽部(大正10年建築)、三宜楼(昭和6年建築)など、今もなお、当時の趣を残す建造物が多く立ち並びます。

帯同していただいたガイドさん

お名前
藤井八三 さん
ガイド歴
10年
趣味・特技
製鉄関連
一言PR
歴史ある門司港を堪能してください

門司港

陸続きだった下関とは、約6千年前に浸食作用により別れ始め、関門海峡ができた。

明治22年に門司港は特別輸出港に指定され、米・小麦・小麦粉・石炭・硫黄の5品を輸出することができるようになり、門司の町が発展した。

門司港駅

門司港駅は、明治24年に鹿児島本線開通したときにできた駅で、当初は門司駅と言っていた。明治44年に一等駅に指定されている。当時は10万人/日の乗降客があり、現在の駅舎は大正3年に建てられた。

門司港駅は2年前に復原された。今回復原するにあたり大正時代、大正皇后が門司港駅に訪れるために宮内庁が調査した資料の中に、駅の建物の原図が見つかった。その図を基に模型が作られ、復原されている。(下右写真)冠にあるティアラのようなデザイン飾りの駅舎の上の柵は、戦争による金属供出で残っていなかったので、原図がなければわからなかった。

旧1等・2等車両乗客用待合室

観光案内所とみどりの窓口のカウンターは、昔は切符売り場として使用されていた。黒漆喰を塗った飾り壁は、重厚感ある室内の雰囲気を醸し出している。

3等車両用待合室

通路を挟んだ反対側には、コーヒーショップとして現在使用されている3等用待合室がある。店内にあるエレベーターは、今回改築されたときに新設されたものだ。

屋根裏

エレベーターで2階に上がると、屋根裏の構造をガラス越しに見せている。

駅で重要文化財になっているのは、門司港駅と東京駅だけで、駅の完成は東京駅より8カ月早かった。

貴賓室

大正皇后が訪れたときに造られた部屋で、壁と天井は復原されたが、床の材質・色はわからなかったため部屋の雰囲気に合う形で造られている。

低い位置にあるドアノブの位置を見ると、当時と現在の身長差を感じる。部屋を覗くことはできるが、中には入ることはできない。

貴賓室控の間

貴賓室の隣には控室があるが、こちらは中に入ることができる。貴賓室とは違い、質素な内装になっている。

窓からは、鹿児島本線の起点となる門司港駅の様子を見ることができる。昭和17年に完成した関門トンネルを通って下関方面に行くには、2つ先の門司駅から乗り変える。

みかど食堂

2階には他に、「みかど食堂」があった。食堂の関係者が保存していた物から、床や壁の柄が特定でき、店舗が再現され、現在食事をすることができる。 

関門連絡船通路跡

駅構内に、関門連絡船乗り場につながる通路がある。昭和16年には、1日53往復・年間880万人が利用していて、明治34年から昭和38年まで使われていた。

通路横には、戦前不審者がいないか憲兵が見張っていた監視孔(かんしこう)跡が残っている。 

誇りの鏡

終戦直後の昭和20年に、お産直前の方がいて、産気づき、駅員がリヤカーで運んで、無事に生まれたという話がある。その時に生まれたお子さんの名前は左門司さんと言い、門司の字が入っている。構内の一角には、その方から寄付された鏡が飾られている。

構内

幸運の手水鉢(ちょうずばち)

駅舎ができた大正3年当時からあるトイレの手水鉢で、外す費用が高かったため、戦争中の金属供出を逃れたことから名付けられている。

洗面所

当時下駄とか草履を履いていたため、足を洗うことができるように手洗い場が低く作られている。

帰り水

戦後、海外から復員や引揚者の人たちが帰ってきたとき、安どの思いでのどを潤した水道水と言われていることから、帰り水と呼ばれるようになった。

駅前広場にある和布刈(めかり)神社で行われる神事の像

旧正月早朝におこなわれる神事で、神官3人でわかめを刈り取り、神前に納める。旧正月は必ず大潮になり、潮が引いた状態の海岸に階段があり、そこを降りて刈り取る。戦前までは神事のため、見ることはできなかったが、現在は見学することができる。

門司港出征の碑

門司港から200万人の人が大陸に向けて出征していき、そのうちの半分が亡くなったと言われている。

馬用水飲み場

戦争で大陸に連れていく馬用水飲み場が、当時は7か所あった。そのうちの一つが残っている。

旧大連航路上屋

門司港には、中国の大連に向かう専用の波止場があり、航路のターミナルとして使用していた旧大連航路上屋近くには、船に積むため石炭や水・食料を運んでいた線路が残っている。

建物内には、当時をしのぶ品物が展示されている。門司港は映画のロケをよく行われていたため、映画の関係資料の展示もおこなわれている。

関門海峡ミュージアム

ミュージアム内には、門司発祥と言われる「バナナのたたき売り」の様子など、昔の門司の街並みが再現されている。台湾やフィリッピンから船でバナナを運ぶ間に傷む物が出てくるので、傷んだものを門司港に着いて、たたき売ったことから始まった。売り子とお客様の掛け合い風景を見ることができる。

屋上に上がると、関門海峡を望むことができる。潮の流れが速いときは、10ノット(時速18.5㎞ほど)もある。

夏には関門花火があり、門司側と下関側と両方から3万発の花火が上がり、何十万人の人が訪れるそうだ。

フェリー乗り場

下関の市場がある唐戸や宮本武蔵と佐々木小次郎が戦った巌流島までフェリーが出ている。唐戸までは5分程度着く。

2階には、関門海峡の地図が展示されている。

外海と狭い関門海峡を挟んだ瀬戸内の海の広さが違うため、潮位の差が生まれ、潮の流れが起きる。関門海峡は、鳴門海峡・来島海峡とともに日本の三大潮流の一つになる。

歩行者用可動橋

全長108mの橋で、1時間に1度上がる。

旧門司税関

明治43年に建てられた後、2度の火災が起き、3代目としてレンガ造りで建てられた。長い面と短い面を交互に積んでいくイギリス積みで、レンガの積み方としては一番丈夫だ。

訪れた日はイベントが行われる予定があったため、密輸で徴収した品々が展示されているスペースが縮小していたが、本をくり抜いたピストルやワシントン条約で輸入が禁止されている生物などが展示されていた。

北九州市大連友好記念館

北九州市は大連と姉妹都市で、大連にあったシベリア鉄道の駅を再現したアールヌーボー様式の建物が復元されている。

親水広場

明治23年にできた第一船溜まりは、石炭などの荷を本船に運ぶ小舟の停留場所として活用されて、商社が建ち並び、昭和50年ごろまで大変賑わっていた。現在は、異国情緒あふれる雰囲気が味わえる広場になっていて、夜にはライトアップされてとてもきれいとのこと。 

ホーム・リンガー商会

イギリス人が貿易の仕事をするため1868年に建てられた建物は、海の際(きわ)にあったが、現在は埋め立てられ、海から離れた場所になっている。現在の建物は昭和37年に建てられた。

旧大阪商船ビル

大正6年築のこの建物も当時は海近くにあり、八角形の塔屋に灯がともると、灯台の代わりになっていた。

旧門司三井倶楽部

アインシュタインが来日した時に九州大学に講演にするため宿泊した施設で、ノーベル賞受賞の知らせが来たため、1週間ほど滞在した。洋式の風呂などの改修工事がおこなわれた。見学当日は改修中で、中を見ることはできなかった。

旧三井物産ビル

昭和12年築の三井物産門司支店として建てられた。その後、国鉄(JR九州)九州支社として利用され、現在は北九州市買い上げ、ホテルが建つ予定だ。

バナナの叩き売り発祥の地

門司港駅近くに石碑がある。

旧九州鉄道本社ビル

明治20年に九州鉄道という鉄道会社ができ、明治22年に九州で初めて鉄道が走った。明治24年に門司港駅ができた時に、本社ビルが建てられた。現在は九州鉄道記念館として利用されている。

三宜楼(さんきろう)

昭和6(1931)年築の木造3階建て、総建坪360坪の建物で、当時の栄華の歴史を建物が語り継いでいる。創業者三宅アサは京都の芸者だったが、門司港が特別輸出港に指定され、一転にぎやかになったことを知り、門司港に来た。52才(1906年)の時に小さい建物を建て、商売がうまくいき、25年後の1931年に現在の三宜楼を建てた。

門司出身の出光佐三(出光興産創業者)をはじめ、当時の企業や官庁の社交場、著名人による文化の発信拠点として、数多くの足跡を残している。

建物模型の後ろのガラス戸にはお客様の確認をしていたのぞき窓がある。

現在接客コーナーになっているところは、料理を2階・3階に運ぶ仕掛けがあった。

飾り窓

玄関入ると、まず雷・雨・田・松の飾り窓が目に入る。お客様を迎える創業者三宅アサの世界観が味わえる。

2階に上がる階段には、山・雲・月の飾り窓があり、天空への階段と言われ、異空間へいざなう階段として、おもてなしの心を感じる。

2階に上がると、16畳の能舞台がついた64畳の大広間がある。現在夜ここで、宴会を開くことができる。

3階には、俳句の間があり、俳人高浜虚子が訪れている。外には関門海峡を望むことができ、ビルが多く建っているが、当時はもっとすっきりと海が見えていたに違いない。

二葉検番跡(錦公民館)

昭和12年築の建物で、芸者と料亭を繋いでいたところになる。見学した日が休館日だったため、中は見学できなかったが、芸者さんが当時稽古したところも残っている。

北九州市観光案内ボランティア

門司港レトロ地区や小倉地区、世界遺産構成資産など市内の見どころを、心を込めてご案内します‼

団体窓口
北九州市総合観光案内所
所在地
〒802-0001 福岡県北九州市小倉北区浅野1-1-1 JR小倉駅3階 北九州市総合観光案内所
電話番号
093-541-4189

ツアープラン情報

ツアー名
門司港レトロ地区散策コース
料金
ガイド1名につき1,000円(以降1時間追加ごとに、500円)
開催日時
10:00〜16:00
ツアー時間
約120分
予約受付
7 日前まで
お問い合わせ
北九州市総合観光案内所
TEL
093-541-4189
定休日
不定休
営業時間
9:00〜19:00
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