
江戸時代に入り、有田で磁器が焼かれるようになると、積み出し港として伊万里港は一気に発展しました。1670年代に入ると、独自の製法の秘密を守るために、有田にあった藩窯が三方山に囲まれた伊万里の大山内山に、置かれました。鍋島焼のふるさと、そして伊万里港を中心とした江戸時代の面影を伊万里に来ていただき、ぜひガイドの話しを聞きながら堪能してください。
概略説明
陶器で作った江戸時代の地図で、現在との位置関係を説明。これから歩いていく山すそにあるイチョウと欅の大きな木のあたりが、藩の窯があった所とのこと。137mの登り窯で、焼成室が約30くらいあったそうだが、鍋島藩としての窯は、そのうちの3つだけとのこと。生産量は、献上品や贈答品として2,000個、藩で使う日用品として3,000個の年間5,000個程度で、皿が中心だったそうだ。
伊万里・有田焼伝統産業会館
有田の陶石場からいい石だけを持ってきて、ここで焼いたそうだ。組織だって焼くため、職種ごとに人数が決められ、陶工は全部で31名で、きちっと管理されていて藩から給料が出ていたとのこと。鍋島焼の特徴の一つである淡い緑色の鍋島青磁は、ここで採れた原石から成分を取り出し釉薬(ゆうやく)として塗られたそうだ。鍋島焼には、そのほかに赤・黄・緑で描いた色鍋島と藍色で絵柄を描いた鍋島染付の3種類が大きな特徴で、献上するために、鍋島焼とすぐにわかるために種類が限られていたとのこと。大きさも5寸・7寸・1尺の3種類だそうだ。商品は単独でなく、セットで作られていたそうだ。現在も献上品を作っており、2個作って1個は展示されている。(安倍総理(当時)に献上したものが展示されていた) 特設展では、窯元おかみ会の会員の方々がテーブルごとに絵本をイメージして陳列されていた。
大川内山に窯ができた説明と橋に使用されている陶片について
1675年頃に、有田は交流人口が多く、焼き物を作る技法が盗まれる可能性があったため、独自技法を守るため、有田にあった藩窯を3方山に囲まれた大川内山に移したとのこと。関所を1か所だけ作り、人の出入りを制限したそうだ。立ち並ぶ窯元に向かうため渡る橋に貼られている陶片は、失敗したり壊れたものを捨てた物原(ものはら)にあったものだそうだ。その片を見ても、鍋島焼の特徴(色・染付・青磁)のものしか焼かれていないことがわかる。
関所(観光用に作られたもの)
会館から少し下ったところにある平成に入ってから作られた関所に行く。訪れた時期がちょうど紅葉が見ごろだった。関所をくぐり、橋を渡ると、磁器の奏でる澄んだ音(めおとしの塔)が出迎えてくれる。そこには、水の力を使って陶石を細かく砕くための大きな臼が実際に動いている。昔の状況を再現している唐臼小屋がある。
陶工の墓(陶工無縁塔)
唐臼小屋から川を上っていく途中の紅葉もきれいだ。そこから少し上ったところに、陶工無縁塔がある。この里のあちこちにあった墓石を、ここに集めて、昭和に入ってから塔にしたそうだ。800基程度あり、江戸時代の200年間焼いていた陶工さんや家族の方々の墓とのこと。
旧関所跡
陶工無縁塔からさらに上がっていくと、関所跡が出てくる。関所があったころは、川に橋がなく、川の中の石を飛びながら渡っていったそうだ。技法の秘密を守るため、中の人が外に出るのは相当大変だったそうだ。買い物も外の人が関所まで持ってきて、受け取る方法だったとのこと。
登り窯跡
関所をさらに上り、登り窯跡に向かう。137mあったという登り窯の一番下の所。ちょうど建物があったあたり。すべての焼き物をここで焼いていたそうだ。焼成室が30あったうち、火の通りが良い真ん中あたりの3つが、鍋島焼としての窯だったとのこと。それ以外は、お手伝い窯として、31人の陶工以外のお手伝いをしてくれる人たち用の窯だったそうだ。
大イチョウのある広場
樹齢400年の大イチョウ。幹の太さは、子供が8人が手でつなぐほどだ。現在は広場になっているが、もとは藩役宅跡や絵付けなどをしていた細工屋敷跡。一番の高台にあり、見晴らしは良かったと思われる。そこを後にして下っていく道の石垣は、江戸時代からのもので趣があるところとなっている。
トンバイ橋を通って、現在ある登り窯へ
一番高い所まで行き、藩窯公園方面に向かう。トンバイ橋付近の紅葉もきれいだ。橋を渡り、下っていくと、現在使用されている登り窯が見えてくる。昔あったものと比べると小さいが、現在の献上品はこの窯を使って焼くそうだ。1300℃の熱で焼くため、薪は松の木を使用する。献上品を焼く人は、白装束で、火おこしも原始的な方法で36~39時間かけて焼く。昔に近い製法で焼き上げるということだ。

伊万里市観光ボランティアガイドの会
江戸時代に入り、有田で磁器が焼かれるようになると、積み出し港として伊万里港は一気に発展しました。1670年代に入ると、独自の製法の秘密を守るために、有田にあった藩窯が三方山に囲まれた伊万里の大山内山に、置かれました。鍋島焼のふるさと、そして伊万里港を中心とした江戸時代の面影を伊万里に来ていただき、ぜひガイドの話しを聞きながら堪能してください。
- 所在地
- 〒848-0047 佐賀県伊万里市伊万里町甲555-1 伊万里市陶器商家資料館内
- 電話番号
- 0955-22-7934
ツアープラン情報
- ツアー名
- 伊万里・秘窯の里大川内山見て歩きコース
- 対象
- 大山内山コース、街なか観光コース、市街地・前田家住宅コースの3コースを中心に、先人の築いた伝統と文化に触れていただく。
- 料金
- 1時間あたり、
1~10名 1,000円
11~20名 2,000円
21~30名 3,000円
31~40名 4,000円 - 開催日時
- 10:00〜17:00
- ツアー時間
- 大山内山コース(約70~90分)
街なか観光コース(約70~90分)
市街地・前田家住宅コース(約30~40分) - 予約受付
- 7 日前まで
- お問い合わせ
-
伊万里市観光ボランティアガイドの会
- TEL
- 0955-22-7934
- 営業時間
- 10:00〜17:00