ぶらり神岡街歩きレギュラーツアー

どこか懐かしくなぜか楽しい、ノスタルジックな「昭和の息づかい」と、気さくな「人々のくらし」を感じさせてくれる鉱都神岡。
陽気なガイドと一緒に歩き、ありのままの自然や街並み、人々の魅力にふれてみませんか!!

旧神岡町役場(現飛騨市神岡振興事務所)

神岡鉱山最盛期が過ぎた昭和53年(1978)に建築された4階建ての神岡町役場は、世界的にも有名な磯崎新氏設計で、「宇宙人の館のようにした」とのこと。石・硝子・金属を巧みに組み合わせ、光り(空間)を創出する。外壁の曲線「モンローライン」は、建物の見所になっているそうだ。磯崎新氏は、平成31年 (2019)に建築界のノーベル賞といわれるプリッカー賞を受賞されている。

神岡城(東町城、野尻城、沖野城)

江馬時盛・輝盛父子が、永禄7年(1564)武田信玄の命により居館を新造し、天正13年(1585)には金森長近が統治。やがて元和元年(1615)の幕府による一国一城令により廃城。その後は昭和45年(1970)三井金属鉱業(株)が、神岡への鉱山経営進出100周年と、町制20周年の記念として神岡城を建造し、神岡町へ寄贈されたそうだ。

黒いトタンの屋根

昭和初期頃までの家屋は、幾重にも重ねた茅葺や榑板葺の屋根で、雨や雪による傷みが早くまた、山間の地形も重なり合い大火が多発したため、住民は大変悩まされていたと言う。鉱山では亜鉛を精錬していたことから、誰からともなく丈夫で災害にも強い、亜鉛メッキ鋼板にコールタール塗装をした、黒いトタン屋根を推奨したそうだ。地産地消だね!!

神岡の土台は強固な岩盤

市街地を流れる高原川を中心に、北部は飛騨片麻岩、南部は船津花崗岩と二種類の硬い岩盤で形成されていると言う。それらは神岡の土台石で、鉛や亜鉛等さまざまな鉱物が含まれている大鉱床だそうだ。また、大洞山等に降る雨や雪が、地下岩盤で浄化されて「大洞湧水群」となり、水屋として人々の暮らしに利用された。

不思議な家並

川側に突き出した家並は、昭和中期頃に高原川の護岸と産業や通勤用の道路拡張工事のため、川沿いの家々に立ち退きをお願いしたが、土地への愛着心で折り合いが付かず、やむを得ず川側に移転したと言う。いつしか美しくミステリーな建造物になった。(崖家造り)

藤波八丁

昔から文人墨客も訪れている町なか随一の景勝地で、赤い橋(藤波橋)と家並、渓谷高原川の豊かな自然、そこから神岡城が見られる場所は、絶好の映えスポットとなっている。元禄時代より明治維新頃までの約170年間、長さ45m 幅1.3m 高さ13m 重さ13tの、巨大な藤橋(かずら橋)が架かっていたと言う。また、江馬氏親子の悲話、謡曲「藤橋」の聖地でもあり、自然遊歩道「藤波八丁」(凡そ900m)は市民の憩いの場所になっているようだ。

町なかの古い通り

藤波橋付近の「神坂」(神様が通った坂)と言う急坂(18度)を登ると、昭和レトロを感じる通りに出会い、「朝浦八幡宮」に向かう。途中西側下の道路は、昭和40年頃までは河川(蟻川)で、埋め立て工事を行ったそうだ。明治初期頃に建てられたと言う、町なかで一番古い民家があった。現在は空き家なので、今後はガイドコースの一つとして活用できればと思っているようだ。

大坪酒造店

坂道の多い町なかに、一際目を引く白くて立派なお屋敷は、天保13年(1842)創業の神岡唯一の造り酒屋だそうだ。店の奥に見えるのは、なんと大きな石垣と石段!それを上ると坂を利用した酒造工場となっており、石垣と石段を飲み込むほど大儲けしたと言う。また、ガイドさんが持っている品物は、美酒「神代」の「スーパーカミオカンデボトル」と言い、ラベルの裏面には東京大学宇宙研究所の「スーパーカミオカンデ」が描かれている。飲み終わった後も飾り物として楽しめる人気の商品だそうだ。

小屋根のある家屋

町なかの所々で見られる小屋根は、囲炉裏や竃からの煙を抜くために設け、また、明かり取りにもなる「煙出し」(高窓・天窓)と言う。更に火災時には隣近所に類焼させない役割も備えていて、京都の町家造りにも見られる暮らしの知恵や工夫だそうだ。「土蔵」や「煙出し」のある家は、当時の旦那衆の証と見られていたとのこと。

レールジャンボ

鉱山で使う穴掘りの機械で、先端には長いドリルがついている。飛騨片麻岩の岩盤はとても固いため、振動により小穴をあけ、ダイナマイトで砕く。写真の機械は旧式で、現在は、よりジャンボなものがあるそうだ。蟻の巣のような地下坑道は、総延長1,000km(東京駅-博多駅間)にも及び10tトラックがすれ違えると言う。

電気の話

鉱山開発を進めていく上で、大量の電力が必要不可欠なため、急流で水量が豊富な高原川を利用して、次々と電力開発に取り組んだ。明治27年(1894)には、動力源としてペルトン水車発電機を設置し、岐阜県下で初めて電気が通ったそうだ。最近では平成26年(2014)に、新発電所(天狗の団扇)の稼働を開始し、現在の総発電能力は、37,000kw(需要の70%)で、10箇所の発電所を持っているとのこと。

鉱山の現状

鉱山は平成13年(2001)に鉛、亜鉛鉱石の採掘を中止(休山)した。現在は、生産コストが安価な海外鉱石(主にオーストラリア)の輸入による製錬に移行、製品化している。また、車のバッテリーや電子基板類からのリサイクル事業等(都市鉱山)も展開しているそうだ。そして広大な坑内は、スーパーカミオカンデやカグラ等の研究施設(東京大学宇宙線研究所他)として利用されている。

神岡鉱山

神岡鉱山の起源は、奈良時代の養老年間(720年頃)に黄金を産出し、朝廷に献上したとの伝承までさかのぼると言う。天正17年(1589)越前大野の城主で、金森長近の家臣糸屋彦次郎(茂住宗貞)が、金山奉行として鉱山の開拓に努めた。江戸時代中頃から明治初年までは、幕府直轄の御手山として、地元の山師により採掘が続けられていたが、明治7年(1874)には、三井組が経営に着手することとなった。その後の近代化により大規模な採掘を続け、108年にわたる三井系の経営を経て、昭和61年(1986)に神岡鉱業(株)として分離独立したとのこと。三井組からの総採掘量は、130年間で7,500万トンに達し、かつては鉛、亜鉛、銀鉱山として「東洋一の鉱山」として栄えたそうだ。

山田川とちんかぶ

「ちんかぶ」とは、清流にしか棲まないカジカ(ゴリ、ドンコ)の地元名で、護岸の石積に空洞を設け、川が増水しても魚が生息できるよう工夫してある。河川が整備される前は岩場の陰に隠れていたようだ。

共同水屋(大洞水道)

船津大洞湧水群は「岐阜県の名水50選」に選定されている。町なかには大小いくつかの「共同水屋」があり、24時間流れっ放しだ。夏は冷たく冬は暖かく感じる地下特有の水は、年中水温11℃で、常温にすると甘みが増すそうだ⁈

旧深山邸

かつて、花街として栄えた頃の遊郭の一軒(全部で十一軒有り)で、屋号を「若松家」と言い当時の佇まいをそのまま残している。現在、建物は飛騨市の所有で、保存利活用が課題だそうだ。

見世とは遊女を見せる店

写真右側の格子戸は、「籬(まがき)」といい、お女郎さんが横並びでお客待ちをしていた場所。若松家は、明治後期頃から有った格式高い「大見世」(遊郭)だそうだ。

昭和8年頃は料理・芸妓置屋「深山楼」、昭和25年頃は特殊喫茶「若松家」、昭和40年頃は貸席・料理業「ふかやま」と名乗っていたという。

帳場

「見世」の中央に長火鉢が置かれた座敷があり、女将が座っている姿を時代劇等でよく見かける。お客の滞在時間は40分程度で、線香一本が燃え尽きることで把握していたという。線香が料金の役目をする事から「線香代」と言ったそうだ。

大見世の下駄箱

玄関に入った正面に広い階段があり、その下には大きな下駄箱が備えてあった。(現在はトイレに改修)

大宴会ができる仕掛け

二階に上がると大部屋と小部屋があり、各々酒宴や遊びを楽しんだと言う。中央に見える廊下に畳を敷くと、大広間となる造りになっているそうだ。また、奥座敷はビップルームとして使用され、裏木戸から出入りができたお客もいたようだ。

見番と検番

元々は遊郭区域内から、遊女の足抜け(逃亡)を見張る詰め所「見番」だったが、その後には、花柳病の検査所や病院となり、二階は、歌舞練場としての役割も担った建物「検番」になったそうだ。

神和荘

「森田楼」と言う高級料亭の別館を、三井鉱山が買い取り、内外からの来訪者の迎賓館として利用されたそうだ。その後は神岡鉱山医院となり、昭和26年頃神岡町に貸与され来賓館「神和荘」と命名(一部は神岡商工会議所となる)、現在は市民の会議や宴会場として使用されているとのこと。二階の大広間には踊り場があり、格天井(ごうてんじょう)という豪華な造りとなっている。

観光案内の標識柱

観光案内標識柱の濃い緑色は、鉱山で活躍している重機を、下部の黄色は安全をイメージしているそうだ。上部のアクリルケースには、鉱山で採掘された方解石や魚眼石等の鉱石が飾られていて、町なかには11基あると言う。探索してみてはどうですか!!

神岡街歩きガイド

鉱山の街として栄え、今も昭和を感じられるレトロな街・神岡を知り尽くしたガイドがご案内します。

団体窓口
飛騨市観光協会
所在地
〒509-4234 岐阜県飛騨市古川町壱之町14-5
電話番号
0577-74-1192

ツアープラン情報

ツアー名
ぶらり神岡街歩きレギュラーツアー
料金
2時間30分コース 5,000円(5名様までガイド1名同行)
つまみ食いコース お一人様1,000円(2名様よりコースに追加可)
※ 6名以上の団体様、その他お気軽にお問い合わせください。
開催日時
随時
ツアー時間
2時間30分
予約受付
7 日前まで
お問い合わせ
飛騨市観光協会
TEL
0577-74-1192
定休日
土・日・祝日
営業時間
8:30〜17:00
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