内町(うちまち)(武家屋敷)コース

深い木立に覆われ、武家屋敷が立ち並ぶ内町。表町、東勝楽丁を中心に武家町をご案内いたします。

帯同していただいたガイドさん

お名前
戸澤 秀基(とざわ ひでき) さん
ガイド歴
10年
趣味・特技
日本画
一言PR
ガイドマップには載っていない、とっておきの情報をお伝えします

角館概要

江戸時代に入って兄佐竹義宣(よしのぶ)が常陸国から秋田に移った時に、蘆名(あしな)家に養子に行った弟蘆名義勝が角館で1万5千石の領主となった。都市計画をおこない、1620年に城下町が完成した。山にあった城を麓に移し、大きな道路を1本作り、下水道工事をおこない、山の麓から武士の住む家(内町)を700m、その南に町人の住む町(外町)を分けて造った。その周りに敵からの守りとして神社仏閣を配し、その外側を田んぼにした。道路の広さや町割りは、造られた当時からほとんど変わっていない。

国の重要伝統的建造物群保存地区として、日本最初に7か所指定されたうちの一つになる。

枝垂れ桜並木

武家屋敷の通りには枝垂れ桜並木になっていて、花が咲く時期には歩行者天国になり、朝の4時・5時から観光客が写真を撮り始める。4月終わりから5月の連休だけで令和4年には67万人が訪れた。コロナ前は倍の人数が訪れ、年間で一番の賑わいになる。

歩行町(おかちまち)

メインの通りから1本中に入ったところに下級武士の住んでいた歩行町がある。手内職として、山桜の樹皮から茶筒・手文庫・煙草入れなどの樺細工(かばざいく)が作られ、生活の足しにしていた。その樺細工は現在、経済産業大臣指定伝統工芸品として指定されている。

松本家

松本家は、40石取りの下級武士で、敷地と通りの境には石がある。現在は石の後ろに柱を建ててある。(立柱門)

屋内では、伝統工芸品に指定されているイタヤカエデで作るイタヤ細工の作業が行われている。カエデの木を切り、割き、組み合わせて作り、ざる・お盆・弁当箱などの製品になる。とてもしっかりしているそうだ。

松本家は、藤沢周平原作の映画「たそがれ清兵衛」の撮影現場になった。

武家屋敷通り

江戸時代に造られた当時の通り幅約6間(11m弱)が今もある。城下町を造った蘆名義勝は、東北で一番大きい大名だった芦名家に婿として入ったが、当時米沢にいた伊達政宗に滅ぼされた。その後実家の佐竹家に戻り、1602年秋田に来て、新しい城下町を築いた。昔の大名時代を忘れられず、広い道を造り、大名行列をしたいと思いから造られたのではないかと言われている。

岩橋家

岩橋家は、江戸時代の建物6か所開放されている内の1軒になる。他に、松本家・河原田家と 小田野家・青柳家・石黒家がある。芦名家に仕えていた86石扶持の家で、町を守る仕事をしていた。

表門と表玄関は対になっていて、上客の時のみ開けていた。玄関屋根には鬼瓦ならぬ鬼板があり、上には雲・下には波(懸魚(けぎょ))の模様が描かれている。雲は雨を呼び、波は水を表すので、火を止める火災予防の意味があるそうだ。

この岩橋家でも、映画「たそがれ清兵衛」のヒロイン宮沢りえさんの実家として、登場している。

台所

玄関の裏に回ると、北側になる台所がある。湿気が多いため、戸を上にあげる蔀戸(しとみど)があり、開けると風が通るように作られているが、冬は寒い。

裏庭

通りに面する表には桜やカエデなど見栄えのする木が植えられているが、裏庭には柿や栗など実のなるものや畑として利用されていた。

奥座敷

奥座敷は主人が座っているところで、障子を開けると脇玄関が見え、誰が来たかすぐわかるようになっていて、怪しいものが来たらすぐに対応する。

写真の下を見ると、石の上に家が建っていることがわかる。直建て(じかだて)と言い、石は角館の大徳山のものが使われている。

自慢の木

各家には通りから見えるところに、自慢の木が植えられている。岩橋家には、300年以上経った柏の木があり、冬になっても葉が落ちない子孫繁栄の木と言われている。(翌年春になると、新芽が出てから古い葉が落ちる)

枝垂れ桜が多い理由

蘆名義勝が1620年に城下町を造った後、蘆名家は子に恵まれず3代で断絶し、その後高倉家から母親の縁で佐竹北家に来た佐竹義隣(よしちか)が領主となった。高倉家は、武士の装束やしきたりを取り扱う仕事をしていた。2代目の佐竹義明(よしはる)が、京都の三条西家(香道の家元)からお嫁さんをもらった。嫁入りの時、京都の思い出として、枝垂れ桜の苗木3本を親が持たせた。その苗が角館の土地によく馴染んで、枝垂れ桜の木が増えたので、その苗木を家来に分け与えた。家来たちは通りから見えるように門のそばに植え、枯らさないように大切に育てたことから多くの枝垂れ桜があり、現在162本の枝垂れ桜が天然記念物に指定されている。DNA鑑定で京都から来たことが証明されている。この桜の種210粒を宇宙飛行士の若田光一さんが宇宙に持って行った後、小学校に植えたところ通常より早く花が咲いたということからその桜のことを宇宙桜とも言われている。

桝形

700mの武家屋敷通りの中間のところは、桝形になっている。通りが曲がっていて、桝のような四角形の空間になっている。

青柳家

青柳家は、藩境を守る仕事をしていて104石取りだった。70石(上級武士)以上ないと黒板塀にはできなかった。明治時代に入って財を成し、現在は間口80m・3千坪で、普通の屋敷の4軒分の敷地がある。

塀越しに中が覗けてしまう(上段右写真)のは、手前の側溝の底のところが当時の地面だったので、敷地内を見られることはなかった。塀に窓がついていてところがあるが(下段左写真)、女性が中から目を合わせずお殿様など身分高い人を見るためのものだ。 

青柳家には、玄関が正玄関・脇玄関(お客様用、家族用)・使用人用と4つあった。

角館には現在100個ほど蔵が残っているが、雪国仕様で白い壁が壊れないようにするため木の袴をはいているようで、美しい姿となっている。甲冑や鉄砲が所蔵されている。

石黒家

石黒家は、150石取りで財務方の仕事をしていた。

門は、文化6(1809)年4月27日に建てられていて、日付がわかっている門としては一番古いものだ。

古城山(ふるしろやま)

城下町ができる前は、166mの古城山に山城があった。その当時、麓の角地に城下町があったところから角館の名前がついたと言われている。

角館樺細工伝承館

秋田県出身の建築家大江宏さんの設計で、伝統的工芸品樺細工の振興と広域観光の拠点施設という二つの使命をもって、昭和53年開設された和洋折衷の建物になる。

かくのだて歴史案内人組合

角館を訪れる観光客へ武家屋敷(内町)及び町人町(外町)をご案内いたします。

団体窓口
かくのだて歴史案内人組合
所在地
〒014-0372 秋田県仙北市角館町東勝楽丁6-1 伝建群管理事務所内
電話番号
0187-55-1670

ツアープラン情報

ツアー名
内町(うちまち)(武家屋敷)コース
料金
1~6人 3,000円
(7人以上は、お一人様 500円)
開催日時
9:00〜16:30
ツアー時間
約90分
予約受付
3 日前まで
お問い合わせ
かくのだて歴史案内人組合
TEL
0187-55-1670
定休日
年末年始
営業時間
9:00〜16:30
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