田の神さぁと島内地下式横穴古墳群をめぐるツアー

「田の神」は、冬は山の神となり、春は里におりて田の神となって田を守り、豊作をもたらすと信じられており、「田の神」信仰は、全国に農村に浸透していますが、「田の神」を石に刻んで豊作を祈願する風習は、薩摩藩独特の文化です。えびの市には、この「田の神さぁ」が約150体鎮座されており、その箇所を案内いたします。また、九州の関ヶ原とも言われている木崎原古戦場跡地など歴史文化の案内も行います。

島内地下式横穴古墳群

縄文時代、弥生時代の次が古墳時代で、一族の長や地域の王となった有力者などが、地位や力を墓で表すようになった。えびの市では、地下式横穴墓が多く発掘されている。

地下式横穴墓は、

  1. 地面からまっすぐ下へ穴を掘り、(竪坑)
  2. 穴の底から横へ穴を掘って、(羨道)
  3. 土や石などで壁を作って空洞を作り、遺体を納める。(玄室)
  4. 羨道の入り口を板石や土の塊でふさぎ、竪坑を埋める。

えびの市の西部に位置する島内墳墓群は、古墳時代中期~後期(5~6世紀)の地下式横穴墓を主として、東西650m・南北350mの範囲に分布している。主に畑が広がっているところにあるため、明治38年(1905)に兜や太刀が出土して以降、陥没したら通報して調査し、埋め戻すという繰り返しがおこなわれている。

横穴式石室系板石積石棺墓

板石積石棺墓と横穴式石室の折衷型という日本唯一の遺構が発見されたことと、近くにある鉄塔を建てるために付近を調べていた時に発見されて、いい状態で発掘できたので、建物で囲い、そのままの姿で保存・実物展示されている。

全国に3つ目となる銀象嵌龍文太刀が現鉄塔の下で、保存のいい状態で出土した。そして、銀象嵌龍文太刀含めて今まで発掘された兜・蛇行剣・短甲ほか1,029点が、平成24年9月に重要文化財に指定された。その多くが、えびの市歴史民俗資料館に展示されている。

島内139号地下式横穴墓

横穴式石室系板石積石棺墓を見学するための道路拡幅・駐車場整備のための調査中に、出土した。5世紀末~6世紀初頭の九州南部に特徴的な地下式横穴墓で、島内地下式横穴墓群の中でも玄室は最大級のもの。調査をおこなっているときに出てきた墓のため、副葬品が完全な状態で出土されていて、副葬品の数は多く、当時としては高級な物が納められている。男女と考えられる二人が埋葬されている。

地位の高い首長級の古墳の場合、未盗掘で発掘調査されることが極めて稀で、土にも触れなかったため、通常では腐ってしまうような繊維や革などが多量に残存していて、金属器の状態も良好で、有機質も金属も良好な残存されている。

田の神さぁ

田の神信仰は、全国的な民俗行事として農村に浸透している。一説によると、田の神の本来の姿は種籾であり、秋に収穫された稲が翌年春に生産の為の種籾になることから、稲の神(稲魂)が田の神の本質的な性格であるとされている。籾・米・餅などは永遠の生命として継承されたものであり、それ自身が田の神であり、それが何らかの影響を受け、稲の外にあって稲の生育を守る田の神へ展開していったと考えられる。

「田の神」を石に刻み(田の神石像)豊作を祈願する風習は、18世紀初めに始まる薩摩藩独特の文化で、「田の神石像」ができたころは、霧島の噴火・天災などが原因で、農家にとって大変きびしい時代だった。江戸時代からの赤字経済を立て直すため、薩摩藩では少しでも収穫を増やそうと、稲作を奨励する政策を行っていた中、農家は霧島の噴火をやめさせ、稲作の豊作を願うために「よりどころの像」を作るようになったといわれている。えびの市の最古の「田の神石像」は、1724年(享保9年)に作られた神官型のもので、田の神のことを、地元では「田の神さあ(タノカンサア)」と呼んでいて、えびの市内には約150体の田の神が残されている。

「田の神さぁ」には、4つの型がある。

農民型

縄で編んだ敷物をかぶり、しゃもじとおわんを持って表情豊かにユーモラスに踊る姿は、農民型の典型で、えびの市でこの型が最も多く存在している。

神官型

公家の正装かそれに近い服装で、神官が神前に座るような姿をしている。神官型は、霧島噴火の被害地方に多く、宮崎県で始まったとされている。下の写真の神官型は、1725年6月の銘があり、えびの市で二番目に古い。

自然石

石像が造られる以前は、自然石を立てて田の神をまつっていたといわれている。

地蔵型

最古の田の神像で、鹿児島県鶴田町柴尾に作られて物が最も古い地蔵型の田の神像(1705年)。島津藩の一向宗禁止との関係のためか、えびの市ではこの型は少ない。

その他

地層の学習ができる場所がある。えびの市中央部に位置する加久藤盆地はもともと湖だったので、軽石と砂が分離されているため、目の細かい白砂が出る。鹿児島県の白砂は、軽石がいっぱい入っている。相当大きく、10数kmに及ぶ湖だったので、何十mの白砂の層があり、道路を作る時のここの砂を入れて作ると、均質な道路ができる。 

えびのガイドクラブ

「田の神」は、冬は山の神となり、春は里におりて田の神となって田を守り、豊作をもたらすと信じられており、「田の神」信仰は、全国に農村に浸透していますが、「田の神」を石に刻んで豊作を祈願する風習は、薩摩藩独特の文化です。えびの市には、この「田の神さぁ」が約150体鎮座されており、その箇所を案内いたします。また、九州の関ヶ原とも言われている木崎原古戦場跡地など歴史文化の案内も行います。

所在地
〒889-4151 宮崎県えびの市向江590-14 えびの市観光協会
電話番号
0984-37-2663

ツアープラン情報

ツアー名
田の神さぁと島内地下式横穴古墳群をめぐるツアー
料金
1時間 1,000円
※歴史民俗資料館 入館無料
ツアー時間
9:00〜17:00
予約受付
14 日前まで
お問い合わせ
えびのガイドクラブ
TEL
0984-37-2663
営業時間
9:00〜17:00
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