橋野鉄鉱山の世界遺産&ジオガイドコース

釜石は、高炉を用いた鉄づくりにチャレンジし初めて成功したまちで、日本最古の高炉が現存しユネスコ世界遺産に認定されています。170年近く前、まだ刀をぶら下げ、チョンマゲを結っていた時代になぜ釜石で鉄づくりが始まったのか、その時代背景とともにわかりやすくガイドをします。

帯同していただいたガイドさん

お名前
千葉 まき子 さん
ガイド歴
10年
趣味・特技
ウォーキング、旅行
一言PR
より楽しい旅になるようにお手伝いいたします

世界遺産「明治日本の産業革命遺産」製鉄・製鋼、造船、石炭

「明治日本の産業革命遺産」は、日本の重工業に起こった大きな変化、国家の質を変えた半世紀の産業化を証言している。鹿児島県・長崎県・熊本県・佐賀県・福岡県・山口県・静岡県そして岩手県と8県23か所ある構成資産があり、そのうちの一つに橋野鉄鉱山がある。

日本近代製鉄の父「大島高任(たかとう)」

盛岡藩の藩医の家に生まれた大島高任は、17才で江戸に留学して蘭学を学んだ後、長崎・大阪で兵学・砲術や採鉱・治金技術を学んだ。

その後水戸藩に雇われ、大砲を鋳造した。しかし、砂鉄を原料とした「たたら製鉄」で造ったため、亀裂が入る問題が起きた。そこで、原料を岩鉄(磁鉄鉱)で造る必要があると考え、盛岡藩の大橋地区で連続出銑に成功した。

(安政4年12月1日(1858年1月15日)12月15日は、現在「鉄の記念日」になっている)

橋野鉄鉱山の沿革

翌年(安政5年)大島高任指導のもと、高炉が築造されたが、同年に起きた安政の大獄で水戸藩主徳川斉昭が失脚すると、供給先の水戸藩への供給がストップした。しかし、有力な産業になると考え、盛岡藩は1860(万延元)年にかけて第1・第2が築造し、当初造られた高炉を改良して第3高炉とした。その後1867年に、藩で鋳銭(貨幣を鋳造)の生産に乗り出した。しかし、明治に入り鋳銭禁止令が発布されたものの密造を続け、明治4(1871)年に大規模な検挙がおこなわれ、鉱山規模が縮小した。

鉄のできるまで

種(鉄鉱石)を焼いて硫黄分を取り除いた後、鉄槌(てつづち)で高炉に入れる大きさに砕く。 そして砕いた鉄鉱石に炭と石灰を混ぜ熱し、鉄を高炉から砂場に流し海草を混ぜて固く編み上げたむしろ(げんば)で、火花が飛び散るのを防いでいる。(湯だし)一連の製造過程を描いた絵巻があり、この絵巻には当時の様子が詳細に描かれており信憑性が高いと判断されて世界遺産登録に重要な役目を果たした。

三陸ジオパーク

三陸ジオパークは、青森県八戸市~岩手県気仙沼市までの南北約220㎞・東西約80㎞に及ぶ日本一広いジオパークで、この大地は赤道付近の大陸の一部と海底にたまった砂や泥、礁などが移動してできている。橋野鉄鉱山は、その中に含まれる。

橋野高炉跡ジオサイト

橋野鉄鉱山は、現存するわが国最古の洋式高炉跡をはじめ、鉄鉱石の採掘から製鉄までの全ての工程示す遺構が自然豊かな森林や川に囲まれた美しい景観とともに遺されていて、鉄づくりに欠かせない木炭は周辺の森林から製造され、高炉の石組みも周辺の花崗岩を利用しており、この地域の恵みを活用し製鉄が行われていた。

一番高炉跡

1860年に完成した一番高炉で、1871年に闇で銭を製造していたため、検挙され廃炉となった。

高炉は、花崗岩を4段積み上げて四方囲い、その上を漆喰壁で覆われた。当時の図面が残っている。

高炉手前には、フイゴと呼ばれる風を送り込む装置があり、風を送り込み、鉄の原料を熱し、写真右側の湯出し口から鉄を排出した。

高炉に使用した石の大きさは、一つ約2tほどあるそうだ。

高炉の周りの地面下には、当時の建物の基礎がそのまま保存されているが、現在は保護のため、埋められている。

二番高炉跡

一番高炉と同じく、手前のフイゴから奥の高炉に風を送り込み、高炉で原料の鉄鉱石を熱し、湯出し口から鉄を排出する。一番高炉との違いは、高炉壁が上まで石で造られていた。写真左には溝があり、当時は水が流れていてその横にあった水車で鉄鉱石を3㎝ほどの大きさに砕き、高炉に入れていた。

高炉内の石に磁石を近づけると引っ付く。今でも鉄のカスがついている証拠だ。

高炉の外壁の花崗岩の内側にはレンガが使用されていた。地中を掘ると、レンガが出てくる。

御日払所(おひばらいしょ)跡

御日払所は、総務などの業務をおこなっていた事務所跡で、作業員の日払いの給料をここで払っていた。

三番高炉跡

昭和30・31年に最初に発掘された高炉で、今回66年ぶりに発掘調査がおこなわれた。現在基礎がむき出しなっているが、風化されないようにじきに埋められる予定だそうだ。

大島高任が建設したもので初期の高炉の基本形であったと考えられるが、第一・第二高炉にない特徴になる。

釜石観光ガイド会

かまいしのことを知りつくしたベテランガイドがご案内します。 震災からの教訓・防災学習や史跡関係まで、おまかせください。 世界遺産登録「橋野鉄鉱山」のガイドも実施しています。

団体窓口
釜石観光総合案内所
所在地
〒026-0031 岩手県釜石市鈴子町22-4 ホテルフォルクローロ三陸釜石1F
電話番号
0193-22-5835

ツアープラン情報

ツアー名
橋野鉄鉱山の世界遺産&ジオガイドコース
料金
1人につき500円
開催日時
9:00〜18:00
ツアー時間
60分
予約受付
8 日前まで
お問い合わせ
釜石観光総合案内所
TEL
0193-22-5835
定休日
年末年始
営業時間
9:00〜18:00
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